新・永山あゆむの小さな工房　400字小説　不思議な日常



「本当に不思議だよなあ」　俺――片平隼人がぼそっとつぶやく。「何が？」　隣にいる俺の彼女――大山茜が訊ねる。「一緒にテレビを見ることが、だよ。大学に入って一人暮らしをして、隣に茜がいて……高校入学したてのヘタレな俺が見たら、びっくりするよなって」「そうね。初めて会った頃の隼人は、名前に似合わずキョドってばっかで。まあそれが治ったのも、あたしのおかげだけどね」「ああ、おまえに色々と部活や行事に振り回されたおかげ、でな」「ふふ。これからもあたしのために、頑張ってよね。思い出、いっぱい作りたいし」「マジか……俺、一生このままなのかな？」　苦笑する俺に、茜は俺の肩に寄り添い、「トーゼンでしょ」　と、嬉しそうに答えた。　……まあ……悪くないけど。
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