永山あゆむの小説・シナリオ創作ホームページです。
『――それじゃあ、またな』 「うん、おやすみ」 『おやすみ』 ……ツー、ツー、ツー……。 はあ、とため息が零れ、自然と背中と壁がくっついていく。この壁の向こう側に、彼女がいてくれたら……。 夢を追いかけ、都会という名の荒波の中で、浮いている丸太にしがみつき、なんとか必死に堪える日々。そんな日々を我慢できるのも、あいつが押してくれたから。 でも、時々、不安に駆られてしまう。電話では元気だけど、本当は泣いているんじゃないのか……。 だから、現在(いま)、なんだ。あいつとオレ自身のために、この道を足掻かないと。 約束した夏の再会で、胸を張れるように。 だからこそ、強く信じたい。 電話で繋がっている、俺と彼女のきずなを。 |
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