新・永山あゆむの小さな工房 タイトル

永山あゆむの小説・シナリオ創作ホームページです。

 


 いつも帰り道に通る商店街、

「――でね、なっちゃんがさー……」

 隣には幼馴染みの女の子。小、中、高と、クラブも部活も一緒で、帰るときも一緒。

 別に好きなわけじゃない。ただ、彼女との間に小さな子供が一人すっぽり入るくらいのこの間隔が居心地いいから。

 テストや部活、ことごとく俺のことをライバル視したり、強引に映画などに誘ったりと面倒くさいけど、色々と楽しめて飽きもせず、ずっと一線を保っていた。

 だけどこのことで友達にイジられるせいか、この感覚に、俺はとまどっている。

 この距離を埋めたら、俺との関係はどうなるんだろう。ずっと一緒に、それとも崩れるのか。彼女への熱が、湯気のように沸々と込み上がる。そんな自分が、怖い。

 これが果たして『恋』、なのか……。

 商店街の雑踏の中、俺は熱の塊を必死に抑え込んで、ただ彼女を見つめている。



<ライナーノーツ>

2017年1発目の400字小説です。ロゴの背景写真は東京の某商店街です。

2月だから恋の月ということで、バレンタインデーとはあまり関係がありませんが(笑)、『距離感』をテーマにしたお話を作ってみました。高校3年生、思春期まっさかりのお話です。このモヤモヤ感が青春を感じますね。最近は意識的に比喩表現など、より引き締まった文章にしようと自分なりに工夫しております。

自分もこの時期、恋でモヤモヤしていたような気がします。自分は少し特殊な境遇でございまして、小学生の頃に引っ越した幼馴染みの女の子が忘れられなくて、その板挟みになっていたんですね。「また会いたい」という夢を抱いていて、ね(笑)。ずっと貫いていたんですよね。「その子に会うまでは……どんなに感情が芽生えても抑え込む」みたいな。どんだけ不器用なんだ、自分(笑)。まあ、その女の子には約3年ほど前にFacebookでまさかの再会というカタチで夢を叶えたのですが、まあ実際、時も経っているので実りはなかったんですけども。でも、後悔はまったくしていませんよ。だって覚えててくれていたから。逆に、当時告られた子に「ごめんね」と言えなかったことに後悔が……。ヘタレだよなあー、本当。

自分ももし、このお話のような状況だったらずっとドギマギしていますね、経験上(笑)。今でもそうだし。本当に恋には(というか全てにおいて)不器用な私ですw



<2017.02.05>


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