新・永山あゆむの小さな工房　400字小説　新しい春-Someday,Someplace-



新しい街、新しい大学――あたしは今、新たなスタートラインの上に立っている。　穏やかに揺れる桜の木のように、あたしの心もまた、穏やかに揺れている。今までとは違った、晴れやかな音だ。　高校の時は、絶望に駆られた最悪のスタートだった。中学で孤立し、ただただ逃げたかった。友達を助けたことが、裏目になったのだから。　だけど、今は違う。あたしのことで怒ったり、悲しんだり、笑ったり、自分を認めてくれる友人達と出会えたこと。あたしに希望をくれたこと。みんながあたしの心の一部にいるから、この気持ちなんだと思う。　また会おうね！　と約束したし、例えどん底になっても、みんながいるから頑張れる、そんな気がする。いつの日も、必ず。「行こう！」　胸に刻まれた想いをのせ、新しい春に向かって、あたしは足を弾ませた。
＜ライナーノーツ＞　3月ということで、『新しい出発』をテーマに書いてみました。　別れの季節でもありますが、永遠というわけじゃない。一生の思い出になるはずだし、心の支えにもなっている。大切な人達が自分を突き動かす原動力になる――そんな気持ちをお話しにしてみました。　不安って、みんな一緒だと思うんですよね。新しい場所、新しい環境に行くと必ず。僕もそうです。ロボットみたくガチガチですし(笑)、「はあー」とため息をつく日も何度あったことやら。そんなときに、友達や知人を思い出してしまうんです。「ここで頑張らなかったら、いつやるんだ」と。400字小説の掲載が30作到達したのも、本当、皆さまのおかげです。　ベタですが友達、知人は一生の財産です。大げさだけど、そんな大切な人を自分から行動で示して『幸せを分かち合える』人になっていきたいですね。＜2018.03.18.＞
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