新・永山あゆむの小さな工房　800字シナリオ　春よ、こい!



＜登場人物＞
・井吹海斗（16）いぶきかいと。主人公。ごく普通の高校2年生。いつも眠たそうな顔をしている。・幹田涼（16）みきたりょう。高校2年生。海斗の友人。惚れっぽい。
〇学校　学生棟二階　二年一組（朝）　教室に響く学生たちの声。　友達の席に来て話す学生たちや鞄を開けて教科書を用意する学生、顔を伏せている学生がいる。海斗「ふあぁぁーあ……」　男子学生――井吹海斗（16）が大あくびをしている。　海斗、あくびでなみだ目にして、海斗「みんな朝から元気だなあ」涼　「（大きな声で）おーす、海斗！」　身体がびくっとなる海斗。　友人の幹田涼（16）がやってくる。海斗「……おまえも朝から元気だな」涼　「あったりめぇよ！　春なんだから！」海斗「季節関係ないだろ。おまえの大声は」涼　「じゃあ、海斗は何で眠たいんだよ」海斗「春眠暁を覚えずっていうだろ。それだよ、それ。教室の日当たりがいいんだよ。ああ、春が来たなぁーって」涼　「教室のせいにすんな。部活バカでいつも寝てばかりのクセに。そんなんじゃあ、春が遠ざかっちまうぜ」海斗「例えば？」涼　「彼女だよ、彼女！　男を磨けってんだ！　青春を謳歌するには必要な要素だろ。春だからこそ、これから青春を共にするパートナーをつくらなくてどーすんだよ。男ばっかじゃつまんねーぞ」海斗「俺はいいよ、めんどくせぇ」涼　「つまんねぇな。……俺は今日から新しい恋に目覚めるんだ！　よーし、おまえより青春を謳歌してやるぞ！　さあどの子に声をかけようかなあ……あの子にしようかな……あの子もいいな……うう迷うなあ……あっ、なら桜の花びらで占いをして……」　海斗、呆れた表情で、海斗「……春が来るのは先になりそうだな」
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