炎が立ち上るなか、私は蹲(うずくま)っていた。
近隣諸国の争いに巻き込まれた私の街は、国からの伝令も何もないまま、瞬く間に戦火となり、罪のない街の人を友人を、そして家族をも獄炎に呑みこんだ。
唯一生き残ったのは、私だけ。
家族に護られ、戦場となる前に必死に外へと出ていった結果がこれだった。
余りにも無惨で空虚な夜空。悲愴感で涙が枯れた。同時に瞋恚(しんい)の炎が心に灯った。
なぜ赦(ゆる)しあうことができないのか。なぜ心に壁を作るのか。なぜその壁を武力で射貫くのか。なぜ、罪のない人間までも「敵」と見なすのか。
優しさはどこから生まれ、どこで消え去るのだろう。世界が陽だまりの色に染まったらあるいは……。
私は炎の道をゆっくりと歩き出した。
いつか、優しさにあふれた場所へとたどり着く、そんな日を目指して……。
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