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永山あゆむの小説・シナリオ創作ホームページです。
朝。 外からカエルの鳴き声が聞こえてくる。その声で、俺は目を覚ました。 「雨、かあ……」 仕事のやる気もガタ落ちだ。 雨音はしないが、やがて降るだろう。昔、カエルは雨を呼ぶ、と祖父に教わったから。 案の定、起き上がってカーテンを開けると、黒い雲が太陽を隠していた。 「めんどくさいなあ」 だが、カエルたちにとっては待ちに待った日だ。 ゲーコ、ゲーコ、と合唱しているのも、雨を呼ぶ儀式にちがいない。雨よ降れー! 早く降れー! 遊びたいんだーっ! と空に向かって。 きっとお祭りがあって、歌って踊って大騒ぎをするのかもしれない……なんて想像したら、クスッと笑みがこぼれた。 彼らは今日、ハレの日を願っている。
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