永山あゆむの小説・シナリオ創作ホームページです。
Scene2 | ||
<登場人物> | ||
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・大学 大学の裏山 入口(夕方) 真っ赤な空の下、カラスが鳴いている。 大学の奥にある裏山の入口に、杏子が立っている。 杏子「ここが裏山の入口か。この先に泉が」 険しそうな山道に喉が鳴る杏子。 首を横に振り、 杏子「……待っててね、アス」 杏子、山の中に入る。 ・大学 大学の裏山 山道(夕方) 山道をしばらく歩き続ける杏子。 杏子「……さすがに山道はきついわね」 泉をめざし、奥へ向かう杏子。 すると、いつの間にか、辺りに霧がかかりはじめる。 杏子「え、うそ……霧!?」 杏子、落ち着つかず、辺りを見回す。 杏子「ど、どうしよう……これじゃあ」 声が震える杏子。 杏子、大声で、 杏子「ねぇー、誰かいる――――? いるなら返事をして――――っ!!」 周りは静かで、人のいる気配がない。 杏子、地面にへたり込む。 杏子「ずっとこのままだと、あたし……」 明寿香(声のみ)「キョウちゃん」 杏子「え!?」 明寿香の声を聞いて、すぐに立ち上がる杏子。 杏子「アス?」 明寿香(声のみ)「キョウちゃん」 杏子「アス……明寿香、どこにいるの!」 明寿香(声のみ)「こっちだよ」 杏子「こっちって、どこよ!」 明寿香(声のみ)「こっちだよ」 声が聴こえる方角を頼りに、霧の中を駆け抜ける杏子。 杏子「明寿香―っ! 隠れてないで出てきてーーーっ!」 しばらくすると霧が薄れていき、杏子の眼前に、静かにたたずむ泉が現れる。 ・大学の裏山 泉(夕方) 杏子「あ……」 佇(たたず)む杏子。泉を見つめる。 杏子「う、うわさは、本当だったんだ」 泉の近くまで、ゆっくりと歩きはじめる杏子。 杏子、透き通った水面を見つめる。 杏子「綺麗……」 杏子、少しの間、水面を見つめる。 杏子、急に思い出すように、 杏子「そうだ、願いを叶えなきゃ。この石の台座に捧げばいいのかな?」 杏子、ポケットからクマのキーホルダーを取り出し、見つめる。 杏子「友情の誓いで、明寿香と交換したこのキーホルダーなら、きっと」 杏子、石の台座にそっとキーホルダーを乗せる。石台の前で、祈りながら、 杏子「お願いします。もう一度あの日々を。泉の女神さま、もし、そこにいるなら、明寿香をどうか、どうかよみがえらせてください……」 すると、目の前にある石の台座が碧色に光り出す。石の台座が地中に沈む。 杏子「え、うそ……!」 目を見開く杏子。 泉も光り出し、中心に奥の洞窟へと続く、石畳の道が出来る。 杏子「この石畳の道を進んで洞窟に進め、ってこと?」 泉の女神(声のみ)「さあ、願いを叶えたいなら、先へお行きなさい」 杏子、驚きながら、 杏子「違う声……!」 杏子、奥にある洞窟を見つめる。震える手を握りしめ。 杏子「行かなきゃ。アス、待っててね……!」 泉の中心にできた石畳の道を渡り、奥の洞窟へと進む杏子。 ・代価の世界 荒地の道(暗い) 洞窟の奥へと進み、外へと出る杏子。 熱風が、杏子の肌を伝う。 杏子「あっつ……なに、この暗い世界は……」 杏子の前には、暗い空で覆われた、ゴツゴツとした岩と砂が広がる荒地の世界が広がっている。 明寿香(声のみ)「キョウちゃん」 杏子「アス!」 杏子、辺りを見回すが、誰もいない。 杏子「この先に、きっとアスが……」 荒地の砂に足を踏み入れ、進む杏子。 ・代価の世界 荒地の道 神殿の前(暗い) 熱風が吹き荒れる荒地の道を進む杏子。 建物が小さく見える。 杏子「ん……あの建物は」 走って、建物の方へと向かう杏子。 杏子「神殿?」 雷が鳴り始める。 杏子「うわぁ!」 思わず耳を塞ぎながら屈んでしまう杏子。 杏子「うう……いかにも、ってカンジね」 明寿香(声のみ)「キョウちゃん」 杏子「アス!」 杏子、立ち上がり、神殿を見つめる。 神殿の扉が開き始める。 泉の女神(声のみ)「とうとうここまで来ましたね。さあ、お行きなさい」 杏子「……アス」 杏子、息を呑みこみ、神殿の中へ入る。 |
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