永山あゆむの小説・シナリオ創作ホームページです。
Scene4 | ||
<登場人物> | ||
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・代価の世界 神殿 廊下(暗い) 神殿の廊下を歩いている杏子と明寿香。 杏子、立ち止まる。 明寿香も杏子の後ろで立ち止まる。 明寿香、不安そうに、 明寿香「キョウちゃん……?」 杏子「よかった、本当にいるんだね」 明寿香「あ、うん。いるよ。でも、まだ幽霊だからかな、暑さとか感じないけど」 杏子の手に触れようとする明寿香。 しかし、手が透けてしまう。 明寿香、寂しそうに、 明寿香「……キョウちゃんの、手も」 杏子「そっか。でも、いいよ。今ここにアスがいることが、あたしにとっての幸せだから……アスがいなくなって、あたしがどれだけ悲したんだか……バカ」 明寿香「うん……ゴメン……」 杏子「でも、それは今日で終わり! ここから抜け出せば、アスは生き返って、すべてをやり直せる。試練がんばろう……って、がんばるのはあたしか。はははは」 杏子、気合を入れるように、 杏子「よし、行こう!」 杏子と明寿香、再び出口へ向かう。 ・代価の世界 神殿の前(暗い) 神殿の外に出ている杏子と明寿香。 強い熱風により、砂塵が巻き上がり、荒れている。 あっけにとられる杏子。 杏子「うそ。さっきとは全然違っ、キャア!」 強い熱風と、それに巻き上がる砂塵に、思わず目を塞ぐ杏子。 杏子「これが代価、なんだ」 杏子の後ろにいる明寿香、心配そうに、 明寿香「大丈夫?」 杏子「……大丈夫。あたしが絶対に生き返らせるから。行こう」 吹き荒れる熱風と砂塵の中をゆっくりと歩き出す。 ・代価の世界 荒地の道(暗い) 強い熱風で、砂塵が巻き上がっている。 杏子、歩きながら、 杏子「あっつ。砂がウザいなあ」 明寿香「空も真っ暗だね」 杏子「ここが別世界だってのがよく分かるわ。でも不思議ね。こんなSF体験ができるなんて、夢じゃないのかって」 明寿香「夢じゃないよ。夢だったら、こうして一緒にいることはできないよ。第一、夢って頭の中で彩られた世界なんだから、キョウちゃんがイメージしたわたしは、現実のわたしと違うでしょ」 杏子「相変わらず現実的ね。まあ、それもそうね。でも、なつかしいね。こうやって話すと、高校時代を思い出すなあ」 明寿香「うん、いじめられていたわたしを、キョウちゃんが助けてくれて」 杏子「うん。ほっとけなかったもん。学校はみんなで勉強して、楽しむ場所でしょ。そんな場所で居場所がなくなったらと思ったら、身体が勝手に動いて、手が出ていた」 明寿香「それからだよね。昼休みに特別教室でお弁当を食べたり、遊んだり……あのときは本当に、我慢して学校に来てよかったって、心から思った」 杏子、少し怒った声音で、 杏子「だったら、なんで死んだのよ。デパートを炎につつんで、目の前で飛び降りて」 明寿香、思いつめた声音で、 明寿香「それは……」 杏子「本当に悲しくて、悲しすぎて、一日中涙が止まらなかったんだからね。願いが叶ったら説明してもらいますからね!」 明寿香「う、うん……」 杏子「あっ、ようやく洞窟が見えてきた」 見えてきた洞窟に指をさす杏子。 |
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