永山あゆむの小説・シナリオ創作ホームページです。
Scene6 | ||
<登場人物> | ||
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・真っ白な空間 杏子と明寿香。真っ白な空間の中で、顔を向き合っている。 杏子、悲しそうな表情で、 杏子「な、なんで……」 明寿香、微笑ながら、 明寿香「キョウちゃんを、助けたかったから」 杏子「それじゃあ意味ないよ!!」 悲鳴にも似た声を上げる杏子。 杏子、涙をこぼしながら、 杏子「あたしは、あたしは……アスがいないと生きているとか、幸せだとか、そんな実感が……!」 明寿香「大丈夫だよ」 杏子「大丈夫じゃないよ、バカ……!」 泣きじゃくる杏子。 明寿香、杏子の頭を優しく撫でる。 明寿香「……ありがとう、キョウちゃん。生きていてくれて」 杏子「……」 明寿香「そして、ごめんね。わたしのことで、こんなにも苦しめてしまって……でも、私にはこれしか方法がなくて……」 杏子「どういうこと?」 明寿香「実はね、わたしをいじめていた人たちが、キョウちゃんを標的にしようとたくらんでいたのを聞いてしまったの」 杏子「え?」 明寿香「わたしのせいで、今度は周りの人を、大好きな友達を巻き込まれると思うと、胸が詰まってしまって……」 杏子「そういえば昼休みに、弁当を食べずに、ずっと黙ったままのことがあったけど」 明寿香「うん、ずっと考えてた。大切な人が、今ある日常を、これからの幸せを、壊してしまわないようにって……ごめん、ね」 杏子「バカ……なんで相談しなかったのよ。一人で苦しんで、傷ついて、あたしたち親友でしょ。あたしにも共有させてよ……そうすれば、こんなことには……!」 泣きながら明寿香を抱きしめる杏子。 明寿香、思いつめたように、 明寿香「そうだね……ごめん、ね」 明寿香の身体が白く輝き始める。 杏子、明寿香から離れる。 杏子「アス!?」 明寿香「時間みたい……」 杏子「やだ。アス……行かないで……!」 杏子、再び明寿香を抱きしめる。 明寿香、微笑ながら、 明寿香「キョウちゃんに会えてよかった。わたしもね、願ってた。キョウちゃんと再会することを、あの女神さまに」 杏子「……だったら、ずっとここにいてよ!」 明寿香「最後に、私のワガママを聞いて?」 杏子「最後だなんて言わないで!」 明寿香「私が生きたかった世界を最後まで生き抜いて。そして、私のような人が、自分の足で歩くことができる、そんな優しい世界にして。お願い」 杏子、黙る。 杏子、泣きながら明寿香を強く抱きしめて、 杏子「わかったわよ。その代わり、おばけでもなんでもいいから、あたしがヘバったら、現れなさいよ……ばか」 明寿香、涙をこぼしながら掠れた声で、 明寿香「うん……ありがとう」 杏子「バカ!」 眩い光に包まれる杏子と明寿香。 |
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