○高校 プレハブ前(夜)
【SE】歩く音。
【SE】風が吹く音。
健斗「うう……身に染みる寒さッスねー」
みちる「このくらいの寒さでこたえたら、北海道には行けないぜ」
健斗「みっちぃ先輩はなんともないんスか?」
みちる「あたしは家で毎日鍛えているからねー。うちの道場で、寒さに強い体に鍛えてもらったほうがいんじゃないの?」
健斗「い、いえ、遠慮しておくっス……」
巧「……行けばいいのに」
健斗「うっせえ、モテ男!」
みちる「はいはい、プレハブに着いたよ」
みちる、校舎の裏にあるプレハブの戸を開ける。
【SE】戸を開ける音。
そこには朱莉たちをはじめとした、演劇部の女子部員たちがいる。
みちる「失礼。あかりー」
朱莉「みっちゃん。おつかれー」
朱莉、みちるのところへ向かう。
【SE】床を歩く音。
みちる「お疲れ。もう入れる?」
朱莉「うん。みんな着替えているよ」
みちる「オッケー。(健斗と巧に向かって)入ってもいいってさ」
健斗「うっス」
巧「はい」
【SE】靴を脱ぐ音。
【SE】プレハブの中を歩く音。
○高校 プレハブ小屋(夜)
三人を見つめる朱莉。
朱莉「あれ、音緒は?」
みちる「なんか用事があるってさ。またひとりでやらかさなければいいけど」
朱莉「ふうん、用事、ね。うふふふ……」
みちる、怪訝な表情で、
みちる「なに、その気味悪い声」
朱莉「いやいや、ちょっとね。やっぱりアイツのことが。うふふふふふ」
みちる「だからやめなよ、それ。何? 朱莉は、音緒がどこにいるのか分かんの?」
朱莉、自信満々に、
朱莉「ええ! ネオがなんで手作りチョコレートを作ろうとしたこともね。うふふふふ……」
みちる「なんで朱莉が手作りチョコのこと知ってんのさ」
朱莉 「一緒に作ったんだもん。みっちゃんたちはもらったの?」
みちる「ああ、もらったよ。すっごい照れくさそうに」
健斗 「うっス。音緒先輩なのにおいしかったっス」
巧「……健斗、余計」
健斗「だって先輩がいない今しか言えねーじゃん」
朱莉「そう。じゃあー、ネオはどんな風に図書室から出た?」
巧「……慌てていましたね」
みちる「ああ。なんか、あたしらに見られたくないような」
健斗「逃げるように去ったスね」
朱莉、嬉しそうに、
朱莉「な・る・ほ・どぉ」
みちる「なによ、今度は嬉しそうにして。こういう時の朱莉、音緒以上の危険人物なんだから」
朱莉「音緒と同じことを言わないの。でも、これで分かったわ」
健斗 「先輩は、何をしようとしてるんスか?」
朱莉「ふっふっふっ……鈍感なキミたちに教えてあげよう。真実はいつもひとつ!」
みちる「名探偵にでもなったつもり?」
朱莉、自信を持って、
朱莉「それはね……ズバリ、恋よっっっ!」
みちる「こ」
健斗「こ」
巧「……こ?」
みちる・健斗・巧「「「こいいいい―――っ!?」」」
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