新・永山あゆむの小さな工房 タイトル

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序章:希望となるために
第3話:試練
<登場人物>

エイジ・ハセガワ(18)男性。主人公。
エミリー・ミチヅキ(18)女性。ヒロイン。エイジの幼なじみでアイドル歌手。通称エミー。
ブリーゼ・オイサキ(28)女性。国際特秘遂行警備組織“影星”所属の団員。
フリッツ・エダサワ(33)男性。国際特秘遂行警備組織“影星”ミザール支部支部長。
メルヴィン・シバサキ(32)男性。国際特秘遂行警備組織“影星”ミザール支部治療班班長。

蝙蝠
蝙蝠(人魔(アロー)化)




〇ミザール国 国際特秘遂行警備組織“影星(エクリプス)”ミザール支部 地下訓練場 暗い

 エイジ・ハセガワ(18)、第二話の最後でフリッツが仕掛けた地下に通じる穴に落とされ、真っ暗闇の中、真っ逆さまに地下へと落ちていく。

エイジ「うああああああ―――――――っ!!」

 しばらくすると、エイジの視界に地面が見えてくる。
  地面に顔がぶつかりそうになる瞬間、どこからともなくクッションが現れる。

エイジ「ぼふっ?!」

 クッションの上で弾むエイジ。
  クッションの上で、仰向けのまま、

エイジ「……うう、地獄に落ちたのか、俺……」

  エイジ、起き上がり、地面に足をつく。
 あたりを見回すと、明かりもない、ただ真っ暗な洞窟。

エイジ「真っ暗だな」

フリッツ(声のみ)「あー、あー、聞こえるかぁ、エイジ」

エイジ「フリッツさん!」

  天井からモニターが、自動的にエイジの前に近づく。
 モニターに電源が入り、ブリーゼ・オイサキ(28)に鉄拳制裁を受けて顔中が傷だらけのフリッツ・エダサワ(33)が映し出される。

エイジ「うおっ!」

  一歩、後ずさりをするエイジ。

エイジ「な、何があったんっすか……?」

フリッツ「気にするな。浄化されただけだから」

  エイジ、フリッツの後ろで怒り心頭のブリーゼを見て、

エイジ「ははは……で、俺はこれから何をすればいいんですか。というか、ここは一体」

フリッツ「ここは、訓練場だ。影星(エクリプス)の者たちが修行するところな。ここでおまえに、テストを受けてもらう」

エイジ「テスト?」

フリッツ「おまえが真に影星(エクリプス)に入る資格があるか、な。なあに、簡単だ。奥まで進んで出口に辿りつきゃあいい。だが、魔物にやらねなければ、の話だが」

エイジ「え、あの武器って、ただの魔物にも効果があるんですか」

 フリッツの後ろにいるブリーゼが、

ブリーゼ「当たり前でしょ。同じ魔物も人間と同じ光子(マナ)で構成されているんだから。それに影星(エクリプス)が取り締まるのは、何も闇魔(オスジオーネ)化した人間だけじゃないんだから。闇子(サタン)が満ちた場所には、必ず、凶暴化した魔物だって現れるのよ」

エイジ「そっか……」

フリッツ「というわけで、そろそろ……」

エイジ「え?」

  魔物の声が聞こえ、その声の方向へと見上げるエイジ。
  すると、上空から蝙蝠の魔物がエイジに向かって襲ってくる。

エイジ「おわっ!」

 エイジ、あわててしゃがみ、蝙蝠の攻撃を避ける。

フリッツ「ははは、反応力は高そうだな。では健闘を祈るぜ、候補者。頑張りな」

  にこにこ顔で手を振るフリッツ。

エイジ「ちょ、フリッツさん!」

  モニターは真っ黒になり、天井へと戻っていく。

蝙蝠「キキキッ!」

  蝙蝠がエイジに向かって襲ってくる。

エイジ「くっ!」

  今度は上体を逸らして蝙蝠の攻撃を避けるも、地面に手をつく。
  すると、すぐに別の蝙蝠の攻撃が、

エイジ「しつこいっ!」

  手をついたまま、後方へとジャンプし、蝙蝠の攻撃を避けて体勢を立て直す。

エイジ「やるしかないってか」

  エイジ、ステルラグローブを装着している左手の甲を前に向け、

エイジ「はあああああっ! 光子(マナ)、」

 蝙蝠がエイジに向かって襲ってくる。

エイジ「解放(グリッター)!」

 その瞬間、左手に装着しているステルラグローブの甲の部分に埋め込まれているひし形の鉱石が朱色に輝き、エイジを中心に朱い円が発生する。  その円に触れた蝙蝠は、跡形もなく灰となる。
 エイジの右手には、朱く燃ゆる剣――フランベルジュが握られている。

エイジ「さあ! 灰にされたいのはどいつだ!?」

蝙蝠「キキーッ!」

 蝙蝠、複数でエイジに向かって飛んでいく。
 エイジ、目を閉じ、小声で

エイジ「頼む、前にやったときと同じように出てくれ。あのときのように」



〇回想 ミザール国・首都ヴァイトインゼル フラワードーム ホール ステージ

 エイジ、勢いよく剣を床に振りおろす。振り下ろす衝撃により赤い光線が空中に放たれ、空中にいるオスジオーネ化したエミリーの身体を貫く。

〇ミザール国 国際特秘遂行警備組織“影星(エクリプス)”ミザール支部 地下訓練場 暗い

エイジ「あのときのように、走れ! 衝火(しょうか)――――っ!」

 エイジ、叫びながら勢いよく剣を地面に叩きつける。その衝撃により生み出された赤い光線が蝙蝠たちに向かって打ちあがる。
 光線は蝙蝠たちに当たり、炎に包まれながら降下する。

エイジ「へっ、どんなもんだ」

蝙蝠「キキッ!」

 エイジの前に、生き残った蝙蝠が現れる。

エイジ「まだ残ってやがったか。おまえも灰になりたいか?」

 剣を構え、蝙蝠を威嚇するエイジ。

蝙蝠「キキーッ!!」

 蝙蝠、慌てて地下訓練場の奥へと進む。

エイジ「逃がすか!」

 エイジ、走って蝙蝠の後を追う。



〇ミザール国 国際特秘遂行警備組織“影星(エクリプス)”ミザール支部 支部長室

 エイジの戦い方をモニター越しで見るフリッツとブリーゼ。
 フリッツ、ヒュー、と口笛を吹いて、

フリッツ「へぇ、やるなあ、アイツ。試験で技を出せるヤツぁ稀だぞ」

ブリーゼ「それだけ資質はあるってことね。あとはアイツ次第よ。この先を乗り越えない限り、アタシは認めないから」

フリッツ「おー、キビシーねぇ。さぁ、どこまでやれるかな」

 必死に走るエイジの姿がモニターに映っている。



〇ミザール国 国際特秘遂行警備組織“影星(エクリプス)”ミザール支部 地下訓練場 暗い

 必死に蝙蝠を追いかけるエイジ。

エイジ「くそ、どこまで逃げるんだよ」

 足元にカチッと音がする。

エイジ「え、いま、なんか音が……」

 すると、あたりが赤く光り、警報機が鳴り響く。

 頭上を見上げるエイジ。すると、天井から針山が彼に向かって落ちていく。

エイジ「おわっ!!?」

 エイジ、なんとか避ける。

 しかし、何度もエイジの頭上に向かって落ちていく。

エイジ「うわあああっ!」

 エイジ、全力疾走で奥へと進む。

〇ミザール国 国際特秘遂行警備組織“影星(エクリプス)”ミザール支部 支部長室

 ブリーゼ、呆れたように、

ブリーゼ「いつのまにこんなものを……」

 フリッツ、得意気に、

フリッツ「フッ、任務にはつきものだぜ」



〇ミザール国 国際特秘遂行警備組織“影星(エクリプス)”ミザール支部 地下訓練場 暗い

 全力疾走で逃げるエイジ。

エイジ「これも冒険のたしなみってか―――っ!?」

 前方にシャッターが降下している。

エイジ「うおおおおぅ!?」

 エイジ、勢い任せに無造作に剣を振り続けて、

エイジ「ブリーゼみたいに刃(やいば)出ろ――――っ!!」

 すると、弧を描いた朱い刃が、剣戟となってシャッターに向かって飛んでいく。

エイジ「よし!」

 ゆっくりと降下するシャッターにぶつかるも、それにおおわれている青い膜が現れ、弧を描いた朱い刃と火花を散らす。
 弧を描いた朱い刃は鏡のように反射され、エイジに向かって飛んでいく。

エイジ「なっ?!」

 目を丸くするエイジ。

エイジ「うおおおっと!」

 辛うじて横っ飛びで朱い刃をかわすエイジ。

エイジ「くぐるっきゃないってか! おおおおおっ!!」

 エイジ、勢いよく跳び、ヘッドスライディング。

 ギリギリのところでシャッターをくぐる。

 シャッターは地面に着き、地響きが起こる。

エイジ「ふぅ〜、死ぬかと思ったぜ……」

 エイジ、体勢を立て直し、額に出てる冷や汗をぬぐう。

エイジ「はあ、村でやってきた稽古がこんなところで役に立つなんてな」

蝙蝠「キキッ!」

 先ほどの蝙蝠がエイジの前に。

エイジ「うおっと!」

 蝙蝠、また奥へと逃げていく。

エイジ「逃がすか!」

 蝙蝠を追いかけるエイジ。

エイジ「えっ!?」

 少し息苦しさを感じるエイジ。
 地面から、紫色の粒子――闇子(サタン)が湧き出ている。
  すると、奥から2つの紅い光がエイジに向かって飛んでくる。

エイジ「おわっ!」

 身体を反らしてかわすも、地面に尻餅をつくエイジ。
 エイジ、不思議そうに、

エイジ「え?」

 どこからかたくさんの蝙蝠たちがたくさん集まり、地表から湧き出る闇子(サタン)もどんどん蝙蝠たちが集まる位置に集まる。
 蝙蝠たちが闇子(サタン)に包まれ、一つになっていき、巨大な魔人蝙蝠へと変貌する。
 人間と同じように手足がついており、全身がどす黒い色となっている。背中には翼が4本生えている。

エイジ「うえええええっ!!?」

 慄くエイジ。

魔人蝙蝠「グウウウウォォォォォォッ!!」

 地下訓練場全体に響く超音波に、剣を地面に落とし、思わず両耳を塞ぐエイジ。

エイジ「うわああああっ!!」

 魔人蝙蝠の超音波に、地下訓練場の天井から小さな石ころが落ちている。
 魔人蝙蝠、右手を振りかぶり、エイジに向かって勢いよく振るう。

エイジ「ぐううっ!」

 エイジ、魔人蝙蝠の攻撃を受け、勢いよく尻餅をつき、額には引っかかれた血の跡が。

エイジ「いってぇー……くそっ、ここからが本番ってか……」

 睨みつける目で蝙蝠魔人を見上げるエイジ。


〇夢 ミザール国 先未の森

 真っ白な背景に、線で描いた長い髪の女性と単発の男性が、線で描かれた燃えている森の中をひたすらに走っている(エミリー視点なので、エミリーは映らない)。

エミリー(モノローグ)「ここは、どこ? なんで、走っているの?」

エミリーの母「エミリー、もうすぐ、もうすぐだからね」

 エミリーの方へと顔を見つめる母親(エミリー視点なので、エミリーは映らない)。

エミリー(モノローグ)「もうすぐ? もうすぐって、何?」

 突然真っ白になり、別の場所へ移る。


〇夢 ミザール国 先未の教会 内部

 教会内部へと移るエミリーと彼女の両親(ここのシーンもエミリー視点なので、エミリーは映らない)。
 奥にはエミリーの父がいる。剣を構えている(背中しか見えない)。
 正面にはエミリーの母がいる。エミリー(画面には見えない)の方へと顔を向けている。

エミリー(モノローグ)「なんで、なんで、ここに……ここは確か、みんなで何かを……」

 奥にいるエミリーの父親、焦り声で、

エミリーの父「おい、来るぞ!」

エミリーの母「大丈夫よ!」

 エミリーの父の方へと顔を向けるエミリーの母。
 エミリーの母、エミリー(画面には見えない)の方へと顔を向ける。そして、エミリーの頭を優しく撫で、

エミリーの母「エミリー。――――――――――」

エミリー(モノローグ)「えっ? 聞こえ、ない?」

 エミリーの母、エミリーに向かって両手を出し、何か呪文を唱える動作をする。
 エミリー、目の前が真っ白になり、線で描かれている母と父の姿が消えていく。

エミリー(モノローグ)「お母さん、お父さん! ねぇ、ねぇ! わたしを、わたしを、ひとりに――」


〇ミザール国 国際特秘遂行警備組織“影星(エクリプス)”ミザール支部 医務室

 エミリー、ベッドの上で多く目を見開き、手を挙げている。
 エミリーの服はライブ会場で着ていた、バラのように紅いフリルドレスを着ている。
 胸元には、アメジスト色に輝く石が埋め込まれたネックレスを身につけている。

エミリー「!」

 手を挙げたまま、硬直するエミリー。
 しばらくして、手をゆっくりと下げる。

エミリー「夢……か……」

 天井を見上げるエミリー、ここがライブ会場でないことに気づく。
 エミリー、起き上がり、

エミリー「ここは……?」

 辺りを見回すエミリー。

メルヴィン「ああーっ、と」

 すると、右側の奥にあるドアが開く。そこから丸メガネをかけ、白衣を着ているボサボサ髪の男――メルヴィン・シバサキ(32)が、頭をかきながら入ってくる。
 メルヴィン、エミリーに気づく。

メルヴィン「お、ようやく起きたか。ふああーあ」

 大きな欠伸をするメルヴィンの態度に、あっけにとられるエミリー。

メルヴィン「うーむ……」

 メルヴィン、ベッドの近くに置いてある丸い椅子に座る。そして、エミリーを頭から順番に、上から下へとまじまじと見つめる。

エミリー「あ、あの……」

メルヴィン「よし、血中光子(マナ)の流れは良好のようだな」

エミリー「え、え?」

 何がなんだか分からないエミリー。

メルヴィン「治したんだよ、おまえさんを」

エミリー「あ、貴方が、ですか」

メルヴィン「ああ」

 エミリー、しばらく黙って、

エミリー「あ、ありがとうございます」

 頭を下げるエミリー。

メルヴィン「礼なら坊主とブリーゼに言うんだな。あいつらがここに連れてこなかったら、おまえさん、死んでたぞ。なんせ、闇魔(オスジオーネ)化になったんだからな」

エミリー「闇魔(オスジオーネ)……あっ!」

メルヴィン「思い出したようだな」

エミリー「真っ暗な空間の中を彷徨っていた気がする。すごく寒気がして、悲しかった……」

 エミリー、自分を温めるように両手で包み込む。

エミリー「よかった、わたし、ひとりじゃない」

 安心して、エミリーは右目から涙が一粒流れる。
 その仕草に、メルヴィンは目をパチクリさせて、

メルヴィン「どうした? 何かあったのか?」

エミリー「いいえ、なんでもありません」

 右目から流れる涙を拭うエミリー。

メルヴィン「そうかい。まあ、おまえさんが意識を取り戻して、俺もひと安心だよ。ブリーゼはともかく、坊主の方は、必死だったからな」

エミリー「坊主って、エイジのことですか?」

メルヴィン「ああ。今、別室でテストを受けている」

エミリー「テスト?」

メルヴィン「ああ。この組織――影星(エクリプス)の団員になるためのな。だが、あの状態じゃあダメだろうな、あいつ」

 エミリー、すぐにベッドから降りる。

メルヴィン「あっ、おい! まだじっとだな」

 エミリー、メルヴィンの忠告を聞かず、裸足で部屋からでていく。
 メルヴィン、頭をポリポリかきながらドアを見つめ、

メルヴィン「やれやれ、だな」



〇ミザール国 国際特秘遂行警備組織“影星(エクリプス)”ミザール支部 支部長室

 エミリー、勢いよく扉を開ける。

エミリー「エイジ!!」

 いきなり開く扉に気づく、ブリーゼとフリッツ。

フリッツ「おおーっと」

ブリーゼ「もう治ったの?」

 エミリー、ハァ、ハァ、と息を漏らしながら、

エミリー「エイジは、エイジは、一体、どこにいるんですか!?」

フリッツ「エイジか? あいつなら、ここにいるぜ」

 フリッツ、リモコンを使ってモニターに画面を映す。
 画面には、戦いや砂埃りの影響で服がボロボロになって膝をついているエイジの姿が。彼の額には傷がついており、そこから血が流れている。
 エミリー、悲痛な声音で、

エミリー「エイジ!!」

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